図書庫の城邦と異哲の女史 の紹介・解説一覧


1

異世界に転移した主人公キイが様々な知識を矢継ぎ早に出し、それを次々に活用して異世界を少しずつ発展させていきます。最初は言語が分からず学ぶところから始まる、言語が2種類ある、独自の言い回しがある、とこれだけ見ると読みづらそうですが、ハーメルン機能の注釈がフル活用されており、また2種類の言語や独自の言い回しの表現も、普通の表現から少しずらす程度です。また知識部分もわりと唐突に出ることも多いですが、よく知らなくても読み進められるようになっているので、本筋を邪魔しません。これらの絶妙なバランスと配慮により読みづらさを感じることはありません。
(例えば25話「規距」の"表面的に触ってなんか適当な哲学用語を散りばめている人間は嫌いだ。Bricolage器用仕事だという弁解はきちんとクロード・レヴィ=ストロースを読んでかつ引っ張ってきた用語の意味を踏まえた上でしてほしい。"を例に出すと、クロード・レヴィ=ストロース「野生の思考」における有名な用語が使われていますが、これは1文目の主張の補強やキイの思考回路を暗に説明するためのフレーバーであり、器用仕事の意味やクロード・レヴィ=ストロースがどんな人かはよく知らなくても読み進められるようになっています。こういった配慮が本作には隅々まで行き届いています。)
章終わりに解説があるのでわからないところがあっても安心、もちろんわかる人は2度おいしいとアフターサービスも万全です。
キイのよいところは自分の持っている膨大な知識を即座に活かすことができるということですね。少し読み進めるたびにいちいち感心してしまったり。博覧強記という言葉はキイ嬢のためにある。あとは現代のことだけを考えるのではなく未来の発展や混乱についても考えていることですね。
まずココまで!
48話
good/0
文字数:755文字
編集日:2022-11-20
1
Amazonのアソシエイトとして、ノベレコは適格販売により収入を得ています。

Page Top