異世界転生とは人生を描くものである。と誰かが言った。そして人生とは上手くいかなかったり正しくいかなかったりの連続である。易きに流れる、誘惑にかられる、甘言に騙される。例え二周目であろうとも、順風満帆完璧正解な人生などそう簡単に行きはしない。最果てのパラディンは「正しくあろう」とする話だ。主人公であるウィルは、最初から「正しさ」を知っている超人ではなく、正しさを教わりそれを思い出すことが出来る人間だ。彼の前には、一見安易な暴力で解決出来そうな話や一見正解に聞こえる誘惑が数々立ちはだかる。そしてその誘惑は、そうしてしまえばいいのではないかと読んでいるこちらにも感じさせる尤もらしさで。だからこそ、彼が「正しさ」を見失わずに取り戻すところは胸を打つ。かくありたいと、かくあれたらいいなと、そういった純粋な憧れを思わせてくれる。あ、ところで巷では「オスのヒロインしかいないのか!」と言われているらしいですが、ちゃんとメスのヒロインも出ますよ。ちょっと心を許してはいけない相手なだけです。