昔から厄介事に巻き込まれやすく、新しく作った友人がなぜか皆酷い目にあう主人公、首藤狩也が、唯一の友人であるヒロイン水鏡碧花やオカルト研の仲間たちとともに、恐ろしい怪異と品行方正とは無縁の危険な人間に立ち向かっていきます。○ジャンルなろうでは現実世界〔恋愛〕、カクヨムではラブコメになっています。それにしてはサイコホラー要素が強く、恐ろしい怪異と人間や曇らせ展開が容赦なく投入されるためそうは思えないかもしれませんが、この作品の主軸は間違いなく2人の愛の物語であることを、最終的には言葉ではなく心で理解できると思うのでご安心を。○ボリューム1,197,219文字は少し読むには多いような気がしますが、文庫本換算機(https://novereco.net/other/tool/bunko_count)の基準を元にすると、文庫本約838ページとなりました。終わりのクロニクル1巻(上下巻合わせて)と同じくらいのページ数です。楽勝ですね。また1話ごとの長さもあまり長くないので、思った以上にサクサク読めます。○よいところ・巧みな心情描写キャラクターから生活感を感じるのも、この作品の魅力の1つだと思います。どんなキャラも大なり小なりクセが強いところがありますが、どこか人間臭く、キャラの感じた喜びや悲しみ、葛藤や怒りにストレートに共感できるようなつくりになっていると感じます。(これは悪役も同様で、妙な戯画化とかはなく、やけに生々しい奴がお出しされます。)・恋愛模様主人公とヒロインの恋愛は、双方が奥手なためなかなか進展しません。しかしそれでも自分があまりじれったさを感じなかったのは、心情描写や実際の行動から、直接的な行為がないだけで2人が互いを想い合っていることがしっかりとわかるからだったと思います。恋愛模様に限らず、この作品からは何でもかんでも言葉で説明しないで理解させる(しかもわかりやすくしっかり理解できる)ところを感じ、かなり気に入っています(これにより、終盤にある「言葉にして伝える展開」が引き立つように感じます)。・ヒロイン好き好き大好きとか言って包丁で刺す(雑なヤンデレイメージ)感じではなく、主人公の害になる人物を影で淡々と殺すところは、なかなか新鮮でした。ヤンデレとクーデレを合わせるとこんなによくなるんですね。・主人公何度困難にぶち当たって曇っても立ち上がるところがいいと思います。これのおかげで読み進めるのがつらいとかにあまりならずに助かりました。また、彼自身がかなり面白い奴なので、当然ながらこの作品の大部分を占める彼のモノローグも常に面白いんですよね。そこもサクサク読み進められた原因かと思います。○まずどこまで読むべきか1話は主人公のモノローグで構成されています。これはヒロインが黒幕系彼女であったことが主人公にばれた後のモノローグで、2話以降よりも少し未来の話になります。この1話のモノローグが終盤でリフレインされる話(つまり、1話の時系列に追いつく話)があります。少々長いと感じるかもしれませんが、そこまで読めば、あとは最後まで楽しんで読むことができると思います。○同作者の関連作品・在りし日の修学旅行2人が中学生だったころの修学旅行の話です。https://novereco.net/novel_data/novel_list/specific/933https://ncode.syosetu.com/n4603gn/・Return valentine本編の後日談で、ホワイトデーの話です。https://novereco.net/novel_data/novel_list/specific/934https://ncode.syosetu.com/n0810gc/・聖夜系彼女本編の後日談で、クリスマスの話です。https://novereco.net/novel_data/novel_list/specific/939https://ncode.syosetu.com/n5664gr/同作者のノクターンのアカウントにも2本外伝が投稿されています。また、同作者の長編は基本的に世界観を共有しており、リンクする要素が多々あります。この作品の登場人物やその関連人物、設定も他作品に多く登場しています。
文字数:1839文字
編集日:2022-04-18