この作品の初報を見た時は腰を抜かした「柳生十兵衛がやってきて、刀を二振りして町田市を壊滅させた」という、とんでもない内容。しかしどうだ柳生十兵衛に対抗するために集った、剣豪:柳生ベイダー・怪茶人:二兆億利休、重アンドロイド:ウォーモンガーたみ子、暴走群狼:悪夢堂轟轟丸の壮観さを。VS柳生十兵衛、こいつはとんでもないことになると思った。そして、月日が経ち完成版が週刊連載で公開された。俺は、そのストーリー展開の面白さや登場人物の生き生きとした死に様を読んで目玉が飛び出すほど驚いた。毎週定期的に更新される内容に驚愕し、手に汗を握り、空いたままの眼孔から涙を流した。飛び出した目玉はまだ、戻ってきていない。本作は奇怪な設定を孕んでいるものの、本質は剣豪伝奇小説のそれである。柳生一族の陰謀が千利休を巻き込み、そして世界的な大事件や戦争に繋がっていく。その複雑な筋が、抜群のリーダビリティの文章と、画面を想像しやすいレトリックで彩られている。曼荼羅職人の手による手製クリスマスセーターのような豪華絢爛さ。あなたはどっしりとした満足感を得られるはずだ。そして本作は作者自身の持ち出しで書籍化(https://www.seichoku.com/item/DS4238010684/)されている。その分厚さや製本の具合は、本気のそれである。そう、この作者は本気なのだ。本気の作者が本気の読者を呼びに来た。機会が二度、君の扉をノックすると思うな。改めて・・・よろしくお願い申し上げます。ようこそ死都町田へ。