「へへ、先輩ったらワルですねぇ。校則ではお菓子持ち込み禁止ですよぉ」
「高校にタバコ持ち込むより百万倍もマシだろ」
　教師どころか、学校自身ですら忘れられたような部屋にいる俺と入来比奈は奇妙な関係だ。
　俺はひたすらに小説を書き続けているし、入来比奈は特に何かをするでもなく、タバコを吸いながらその小説の完成を待っているだけだ。
　そんなある日、俺が入来比奈にタバコの代わりにココアシガレットを渡して――それが二人の関係を変えた。

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