すさまじく長いが、まったく問題ではない。物語に夢中になって、ページをめくる手が止まらないからだ。失職した傭兵と大人気の小説家が、魔の山にある謎めいた街を目指して二人旅。最初はいがみ合う二人だが、次第に信頼を深めていく。やがて二人の過去の後悔、枢機卿の大いなる陰謀、そして世界の隠された秘密が複雑に絡まりあっていく――― 一見するとオーソドックスな王道ファンタジーのようだが、ドラマ、キャラクター、そして設定は全てが洗練されていて、物語強度が非常に高い。あなたは読み進めるたびガツンと殴られたような衝撃を受けて、読み終わったときにはもうこの作品を読む前の自分には戻れなくなるだろう。軽妙な会話劇の中でちょっとしたことを印象づけて、あとからそれを伏線として回収するのが抜群にうまく、読んでいてとても気持ちいい。ファンタジー、ミステリ、そしてSFのトロの部分をいいとこどりしている、文章媒体によるフィクションのひとつの理想形ともいえる作品。じっくりと向き合うことで、いくらでも味が出てくる。読書の快楽を最大化したい方におすすめ。
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50話
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文字数:467文字
編集日:2025-07-13
ハーメルンにおける忘旗かんばせ氏は、西尾維新作品の二次創作で数々の高評価を得てきた作家だ。私もはじめて読んだとき、独特のリズム感と中毒性を生む文体も、独特のキャラクターに引き込まれる高揚感も、本当に見事に再現されていると驚嘆した覚えがある。どれだけ西尾維新のことを考え、理解しようとしたら、これだけのものが書けるのだろうと思った。このオリジナル作品は、一見西尾維新とは関係ないように思えるかもしれない。しかし、確実にこの作品の根底に流れるものは西尾維新とは切っても切れないものだ。そう、この作品は、西尾維新がデビューした時代―すなわち"新青春エンタ"のあらわれた時代―の、魂を受け継いだ作品である。どこにも行けないような終わりなき日常に現れる、ほんの少しの非日常。路地を少し外れただけで姿を変えるセカイ。自分たちだけの価値や答えを求めて歩む若者たち。そんな今では絶滅したかのように思えるあの頃の空気が、令和ナイズされて、ここにある。何者かになりたい女たちの魂の激突!次回がまったく予想もつかない急展開を超えた急展開!連載を追いかけられる今がもっともたまらない時を過ごせると断言できる。彼女たちがどこへ辿り着くのか、その先をもっと見せてほしい、と思うこと間違いなし!
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11話
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文字数:548文字
編集日:2025-06-26
女と女のなま身の感情がなれ合い抜きにぶつかり合う。醜さもすべて含めてキラキラと輝く。彼女たちがどこへ辿り着くのか、その先をもっと見せてほしい。
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11話
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文字数:71文字
編集日:2025-06-26
秋野てくと氏は神を細部に宿す作家である。氏の代表作である「デュエリストしかいない乙女ゲームの悪役令嬢に転生してしまったのだけれど「カードゲームではよくあること」よね!?」は、悪役令嬢ものでTCGをする作品だが、個々のカードの能力やデッキテーマの動き、特殊ルール、そしてそれらを総合的にふまえてどう魅力的なデュエルを演出するか、隅々まで考えられている。秋野氏の作品は、見た目はライトでありながらその実非常に緻密でディープな作品なのだ。この作品は「怪異撃滅クラブ」という珍妙な名の部活に所属する女子高生たちが怪異の裏にいる人間を暴く、ホラーにみせかけたライトミステリである。1話や1章ぶんがほどよい長さでキャラの掛け合いも楽しいため、非常にスイスイ読める。読めてしまう。それではもったいない、この作品は(特に3章は)秋野氏がミステリとして読者の度肝を抜いてやろうという真剣さがこれでもかというほど伝わってくる一大傑作である。私はとても面白いとは思っていたが最初は鈍いゆえにそれを感じ取れず、さっさと続きを見て、もっと謎を解こうと努力すればよかったと後悔した。私は読者として秋野氏の真剣さに応えるべきだった。ミステリは謎が解かれればそれきりである。真相を知らなかったころには戻れない。これを読んでいて、まだ3章の4話以降を読んでいないあなたには、すべてを捨てて目の前の謎にのみ集中し、命懸けで謎解きに挑んでほしい。
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11話
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文字数:612文字
編集日:2025-06-16
異世界の人間によって誘拐された女性である主人公が魔王軍の最高幹部のひとり"|病毒の王《ロード・オブ・ディジーズ》"となって3年間で人類を滅亡させようとする話です。この世界の人間はだいたい現実世界の人間と同じような感じだと思ってください。つまり強欲だし邪悪で残虐です。この性質が悪い方向にかみ合った結果、人間と魔族は泥沼の戦争を繰り広げています。救いがたいですね。こうした人間たちを、主人公は人間ならではの卑劣な策で次々殺していきます。こうしてみると重い作品のようですが、それだけではありません。戦争描写以上に紙幅が割かれているのが、ヒロインであるリズとの百合です。リズはダークエルフの暗殺者メイドで、彼女をかわいがりイチャイチャするシーンがこの作品のメインといっても過言ではありません。部下や仲間におもしれー男と女がだんだん増えて交友が増えていきますが、これは最初から最後まで変わらないのでご安心ください。一章がおそらくラノベ一冊分くらいで分けられており、要所にイラストもあるため、書籍のラノベとあまり変わらない感覚で読むことができます。全体の長さから受ける印象とは裏腹に非常に読みやすい作品です。
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51話
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文字数:515文字
編集日:2025-06-08
あらすじの軽さからは想像もできないほどに、お、重い…!複数回転生が前提のはずなのに一周目からその価値が丁寧に丁寧に描写され、もう読者である私からしても(きっと主人公からしても)これを手放す日が来てほしくないと思う気持ちでいっぱいになります。もう転生などせずヒロインと添い遂げてくれって思ったね。ここまでしっかりこの人生に思い入れを持たせておいて10話のあとがきが鬼畜すぎい~~っ もう少し何というか手心というか…
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10話
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文字数:214文字
編集日:2025-05-28
初手例外というものがありますね。アレの面白さをたっぷり味わえるのが、この作品です。何を言っているかよくわからない方こそ、今すぐこの作品を読み始めてください。序盤に何気なく流していた部分が最新話に近づくにつれてめっちゃやべーことやってたことがわかって、マジでビビります。丁寧に広げたファンタジー戦記世界観の風呂敷で打ち上げ花火をするコメディ作品です。
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46話
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文字数:176文字
編集日:2025-05-28
アニメ遊戯王5D'sの中でクラッシュタウン編といえば、シリアスとギャグとカードゲームアニメが混ざった結果、腹筋クラッシュタウンという評価をされることもある話です。当該話を見たことのない方は「遊☆戯☆王」アニメ公式チャンネルにて、2025年5月26日より2週間という期間限定で行われる配信を視聴すると言葉の意味がよくわかるかと思います。今回紹介する『石造りの心臓』は、そんなクラッシュタウン編に真面目に向き合った章がある二次創作です。――俺をデュエルで葬ってくれ。鬼柳京介からの手紙がアニメ主人公の不動遊星ではなく、何故か彼と強い繋がりを持たないオリ主であるジェイド・アトラスへと届くところから物語は始まります。二次創作らしい、もしもの話で展開されるクラッシュタウン編。死を望む男と、死んで欲しいなんて思っていない男の戦いはどうやっても避けられない。デュエルの果てにいったい二人はどうなってしまうのか?『石造りの心臓』にてクラッシュタウン編は全4話となっています。その結末を見届けた末に満足して頂ければ幸いです。
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18話
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文字数:486文字
編集日:2025-05-25
おいしいご飯を食べる小説ならウェブ上に数多くありますが、この作品はそれとは真逆の、マズい店で食レポをする話です。JKになんかさせる作品は昔から需要が大きいとはいえ、ついに行き着くところまできた感が…クソゲーハンター的に飯マズを食べ歩くJKたちの食レポは豊富な語彙で読むものを楽しませてくれます。しかもこれは小説で挿絵とかはないので、読者は生々しさを感じることなく、安全なところから笑えるというわけです。小説は伝えられる情報量に限界があるとはよく言われますが、本作はそれを逆に利用してこの作品をエンタメとして高いレベルで成立させています。
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1話
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文字数:270文字
編集日:2025-05-03
漫画家として活躍している天原氏の初小説。私は氏の作品は初めてだったのだが、結果として氏がなぜ星新一やボーボボと並び称される天才アイデアマンとして惜しみない賛辞を贈られているかを理解し、その世界観の巧みな構築に脱帽することとなった。ジャンルの当たり前を見直し、面白さの核を徹底的に追及しているのが見て取れる。また大抵の読者に伝わりやすいように表現もかなり工夫されているように感じ、とても読者フレンドリーな作品となっている。異世界の住人の文化、発展レベル、個々人や集団の思考も深く考証されており、もはや一冊の歴史物語のようでもある。秀逸な大量のアイデアと丁寧な構成が掛け合わされた一大傑作。異世界ファンタジーならまずこれを読めといっても過言ではない。
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25話
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文字数:329文字
編集日:2025-04-20
異能バトル少女が主人公とヒロインの幼馴染カップルの恋を応援する変則的王道ボーイミーツガール。「ゼロ年代ライトノベルを多く感じる作品」というのが、この作品のざっくりとした第一印象だった。かつて多く見られた、熟語にカタカナのルビをふった形式の独自用語、うさんくさい組織と父親、燻っていた少年の覚悟、異空間と怪物、研究所で育った怪物を狩る少女、ほかにもさまざまな細かい要素が私にかつてのラノベを想起させた。地の文や会話のテンポ・リズムも非常によく、快適に読み進めることができた。しかし、真に特筆すべきは、この作品が現代に生まれ出でてくれた、ということだ。この作品は、照れも恥じらいもなく、ただひたすらまっすぐに青少年の青春を、自意識を描き出している。どこまでも鮮やかな真夏の青空の下、彼ら彼女らが笑いあい、また悩み苦しむ姿が目に浮かぶようだった。この作品の描写一つ一つはすべて作者が少年少女の「愛」や「可能性」を本気で心の底から信じていないとできないものばかりで、これは現代においては本当に稀有なことだ。作品に込められたこの大いなる浪漫こそが、この作品の魅力の核だと、私は思う。この作品も、これからの新たな時代に刻まれた一作…いや、代表作となってほしい。この作品には、それだけの価値がある。
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14話
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文字数:548文字
編集日:2025-04-12
2週間ただひたすら長編を書きまくり電撃小説大賞に応募しようとするという 何とも過酷で困難なことを成し遂げようとしている作品がある それがこの「違法使いの都神解体《ジェイルブレイク》」ですとにかくもう一つ一つの要素が強力なうえ無駄がない。治安の終わった街。どこにも行けない閉塞感に懊悩する少年。傍若無人な双子の姉。ミステリアスな謎のおねーさん。心が生む異空間。小ネタ的パロディ盛りだくさんのひみつ道具。そして異能バトルとミステリの幸福な結婚によって生まれた、幾重にも重なりあった真実。作者がこれまでカクヨムファイターとしての執筆の中で鍛えた、圧巻の筆力と構成力によってこれらがまとめ上げられ、物語が織りなされている。どれか一つでもピンときた人は、今すぐ読んでほしい!!私がライトノベルに求めているものの全てがこの作品の中にあった。きっとあなたもこの作品を読んだ後なら、「ライトノベル」とは何だ?と問われたら、この作品を指して”これ”だ!と胸を張って答えられるようになるだろう。
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13話
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文字数:441文字
編集日:2025-04-04
ギリギリで生きてる難あり戦士達の話。うわ…と引いちゃうシーンもあるし、最初は他人事で読んでたのに、いつの間にか全員好きになってた。暗くて苦しい場面が多くてこっちまで鬱になりそうな時があるけど、自力でハッピーエンドを掴もうと奔走する姿には泣ける。精神病について割と詳しく書いてて、物語にも活きてるからスムーズに読めてしまう。メンタル系に興味あるなら、専門書やエッセイ読むより、これの方がいいんじゃない?てくらい。凄いよこれ。もっと注目されて欲しいな。
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79話
good/1
文字数:232文字
編集日:2025-04-02
ハーメルンにたくさんある遊戯王GX二次創作を読んで、小説紹介タイトルのような気持ちを抱いたことのある読者に捧げるための作品――それが『ゲスト出演系未来のカード使用GX世界召喚決闘者』です。この作品を簡単に説明すると『GX世界で未来のカード無双が苦手な人向けの、未来のカードを使ったデュエル作品』です。遊戯王GXリマスターの発表により、ハーメルンでまた遊戯王GX二次創作のビッグウェーブが来るんじゃないか? なら、あの頃よく見た未来のカード無双TUEEE!が地雷な自分でも楽しめる作品があるといいな……そんな思いをきっかけに執筆しました。キャラクターがオリ主の踏み台のように扱われるのは見たくない。未来のカードとデュエルして一進一退の攻防の果てにピンチになるけど最後は大逆転する、アニメで何度も見てきたかっこいい遊城十代のデュエル姿が見たい!そんな人にぜひとも読んで欲しい一作です。
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1話
good/2
文字数:406文字
編集日:2025-03-23
ミステリというジャンルは、序盤や中盤がどんなに面白くても、結末でアンフェアな解決を押し付けられる可能性があります。そうなっては全てが台無しです。出来の定かでない素人作家のミステリを読まずとも、完成度の保証された商業ミステリ小説はいくらでもあります。――だからこそ。本作品は徹底的なフェアプレイにこだわり、本格ミステリとしての面白さもしっかり詰め込んで仕上げました。解決篇を読んで万が一、アンフェアだと感じる部分があれば、どうぞご遠慮なく作者にお伝えください。作者が身勝手に定めた“真相”ではなく、論理的に導き出される“最も妥当な仮説”こそが、本格ミステリ世界の神であるべきです。どうか皆様が、推理を楽しんでくださりますように。
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5話
good/1
文字数:331文字
編集日:2024-12-26
ある日突然、人間が暴走の危険を抱えているキメラに変異し、キメラは首輪をつけられ人間の奴隷とならないと生きられない世界。キメラに復讐を誓うおっさん(岸谷)と、彼に道具として使われているキメラの少女(サナ)が、最後の一体となるまでキメラを殺す話。サナはキメラでありながらキメラを殺す。すなわち同族殺しという自己否定を行っている。声帯が壊れていて喋らないため、何を考えているかよくわからない。この悲哀と乾いた雰囲気が、この作品の大きな魅力のひとつ。この作品の世界観の根底には差別がある。しかし、それが善であるか悪であるかという、一面的な提示はされていない。あくまでありのままの、人間の感情と行動が描写される。私はここに、電磁幽体先生の真摯なまなざしを感じた。先生のいくつかの作品にあらわれていることだが、悪とされている部分、目を背けている部分を描いても、それらを完全に否定せずまっすぐ受け止めており、そのため、人間のままならなさと、そこから来る淋しさが強調される。一部の電磁幽体作品では、一般的には欺瞞に満ちているかもしれないし、道徳的には間違っているかもしれない、そんな決断が下されてしまう。だが、それを誰が否定できようか。彼らの持つ弱さが、私たちの誰もが持つ弱さでもあるからこそ、電磁幽体先生の作品は胸の痛いところを突き、ずっと忘れられないのだ。(ここからネタバレ)最終話は、人間と道具だったはずの二人が、お互いを好き(おそらくNOT恋愛)になってしまったことを示唆して終わる。読みおわったあと、これで終わりか…と、しみじみとした気持ちと、少しの呆気なさと、もう少し読みたかったという思いが入りまじったが、やがて、作中の彼らと同様に、自分もこの2人が思ったより好きになっていたことに気づいた。となると、最後の結末まで描かれなかったのは、かえってよかったのかもしれない。前述したように、同族殺しの末路として、きっとサナは死ななくてはならない。少なくとも、岸谷は選択しなければならない。そんなものを読んでしまったら、しばらく何も見たくなくなるだろうから…
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3話
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文字数:904文字
編集日:2024-12-18
ハリーポッターの二次創作は、人気のものはみな原作に引っ張られるのか骨太の作品が多いような気がする。これもそんな作品の一つ。孤児院の少年が引き取られ魔法使いの名家の生まれであることを知るというハリーやトム・リドルを思わせるバックボーンの主人公。当主となり、徐々に成長していくさまが本作の見どころ。話が進むにつれ、名家がクソデカ名家すぎてちょっとだけシュールな笑いがあった。ハリーポッターの原作要素の中でも、特に「血統・一族」と「出生の秘密」をクローズアップして独自設定を盛り、物語を展開している。ヴォルデモート…あなたはクソだ(あたりまえ)ドライさとウェットさが読んでいてだんだんと癖になる。そして根底にあるのはふだん目立たないが大きな愛。やっぱりハリーポッターは愛の物語だよなと感じる。ここを外さない二次創作は名作。
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30話
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文字数:364文字
編集日:2024-12-15
現代においても「純愛」は人気であり、数多くの作品が存在する。しかし理論上、この作品以上の純粋な愛は存在しえないように思う。電磁幽体先生は到達点にたどり着き、すべての純愛を過去にしてしまった。メイドロボが7億380万年もの間、創造主の博士ただ一人を愛し続ける。そのあいだあまたの文明がおこり、風の前の塵のように滅びるさまは、読者に無常観を呼び起こさせる。すべてが移り変わり、変わらないものなど何もない中で、唯一不変のものが「愛」なのだ。そこには人間の肉の体なら当然生じるであろう性愛もない。(サイバーパンクだ)あるのはただ一心に想い希う(こいねがう)心のみ。これほど美しいものがほかにあるだろうか。
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1話
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文字数:302文字
編集日:2024-12-12
無感情 ロ リ 愛 者 ダンジョン探索の道具としてつくられた最強幼女がマネージャーとなった科学者とともにダンジョン配信をおこない無双します。電磁幽体先生の類いまれなる創作力が、すべて無感情ロリ最高を表現するために使われていることが最大の特徴です。情緒未発達の幼女は、命令されないと何もできないので契約した科学者に命令を求めますが、科学者はそれだけはしません。選択をさせ、配信のリスナーと触れ合わせ、だんだんと情緒を獲得させようとしてきます。それにより生まれる幼女の一挙一動がめちゃくちゃカワイイ。ささいな行動や仕草の描写もそうですが、舌足らずで語彙が足りないのが幼女をよく表現していて最高です。戦闘シーンも簡素ながら非常にカッコいい。直前までのぽわぽわした幼女が、次々敵を一瞬で倒していくギャップがたまりません。また、ふりがな演出がめちゃくちゃ決まっていて、厨二に飢えた人にもおすすめです。とにかくこの小説は読者に"無感情ロリ"を打ちこみ一生ロリコンにする危険な作品なんだ。
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6話
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文字数:471文字
編集日:2024-12-09
自分の運を自由自在にして都合のいいときだけめっちゃツイてるようにしたい、というのは、有史以来全ての人類が一度は考えたことがあると思いますが、これは本当にそんな人類の夢を叶えてしまった中学生の物語です。彼は善行をおこなうことで、自分にしか見えないゲージを貯めて、好きなときにゲージを消費してラッキーになることができます。彼はこのためにボランティアなどを繰り返しており、「偽善は人の為の善」などとうそぶいています。物語の中で、彼は運命のいたずらに巻き込まれ、幸運を全て投げうち自己満足的な自己犠牲による救済をおこないます。これが単なる偽善なら、世の中にほんとうの善などあるのでしょうか。そもそもわれわれは、彼のおこなうところの偽善を満足になすことができるのでしょうか。電磁幽体先生は、まるで魔術師のように、作品の中で複雑に渦巻く人間の感情を表現し、読者を翻弄しますが、まっすぐに人を助ける、輝かしい精神を持つ者を描くと、他の追随を許しません。「妖精の物理学」や「星滅のリット」の主人公もそうですが、本当に単純な理由で人を守り、その意志を貫き通します。電磁幽体先生は、こうした人間を、照れもなく本当にカッコよく描ける稀有な創作者だと思います。この作品の主人公もまた、他人のために全てを張れる真の男です。この作品のラストは、彼が自らの善の積み重ねで手繰り寄せて得た、素晴らしい結末です。(余談)読み終わったあとは、電磁幽体先生の別作品「レッドライン」を読むことをおすすめします。両者が合わさり、さらに忘れられない読書体験になると思います。
まずココまで!
1話
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文字数:673文字
編集日:2024-12-10
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