全体的にかなり丁寧で、カジュアルでありながら本気で読むとどこまでも深くなるという印象です。伏線や新展開もかなりのロングパスで、すっかり忘れていたこと、そもそも意識していなかったことを出してきたりします。後者に関しては、妖精まわりの展開で顕著に感じました。普通のなろう小説を読むのと同じ感覚で読んでいたため、あうっそんなとこまで拾ってくるのかぁっ と、本当に驚きました。全体的に伏線や設定の拾い方は、普段なろう小説を多く読んで、テンプレに慣れていればいるほど驚きが大きくなるのではないかと思います。めちゃくちゃ長いのだけがネックですが(「レジンキャストミルク」を超えて100万字越えの作家キャリア最長長編ってネタじゃなかったんですか)それでもしばらく読んでみると、長さを気にせずスルスル読み進めることができます。全体が起伏に富んでいて、飽きがきません。最大の特徴は、主人公とその家族のみならず、彼らがかかわる人々の暮らしを余すことなく生き生きと描いていることでしょう。誰一人ただの舞台装置にはなっておらず、行動や言動から信念が、生き様が、生きてきた月日がうかがい知れるようになっています。読んでいるだけで彼らの息遣いが伝わってくるかのようです。単なるキャラクターではなく、私たちの隣人として存在する人間かのように、一人一人に愛着がわいてきます。また、主人公が大人になる過渡期であることを多く描写していることも印象深いです。家族や周囲の人々と支えあいながら、内面的に成長していきます。なろう系と、若者が体験を通じて成長するビルドゥングスロマンとしてのライトノベルのいいとこどりがとてもうまくハマっています。(まとめ)この作品は異世界に生きる市井の人々の人生を描き出し、生きること、愛することの素晴らしさを心に訴えかける人間讃歌です。評価が星1000越えすれば超有名作品というカクヨムにおいて、星9000越えというとんでもない数値をたたき出していますが、それも納得です。もっとメジャーになり、広く語られるようになってもいいように思います。
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168話
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文字数:876文字
編集日:2024-12-03
電磁幽体先生の別作品「スピード×スピード」と似たような設定でありながら、中身はかなり異なる。青春の鬱屈とした思いをこれでもかと描き出していて、その勢いに圧倒される。混沌として猥雑でありながら、最後は爽やかに終わるのがたまらない。
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1話
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文字数:114文字
編集日:2024-12-01
高校をサボって便利屋でバイトしている主人公と、不死者で堕天使の店主が受けた失くし物探しの依頼から大きな事件に巻き込まれる話。あらすじから勝手に短編連作的なものかと思っていたら、一つの事件を追う長編だった。しかし状況が刻一刻と変化し、章ごとにメインとなるキャラクターが異なるので、別の楽しみをかわるがわる味わうことができた。主人公はその砕けた口調と態度から、軽い性格なのかと思いきや、読み進めていくほどにこんなに強い芯があったのかと驚かされることになった。今どきの作品には珍しく真正面から勇気のすばらしさを叫び、困難に立ち向かうその姿は、実に眩しい。逃げも照れもなく「カッコいい」とはこういうことである、を追求した作品。現代のライトノベル環境においては、かえって新鮮に映った。サブタイトルにもある「黙示録戦争」については、書籍版のラストで触れられたのみで、今回が大きな物語のプロローグといった形。2巻や3巻で終わってもらうとどう考えても消化不良に終わってしまうだろう。ぜひ長く続いてほしい。
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8話
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文字数:450文字
編集日:2024-11-30
最初はカクヨムのあとがきをネタにした作品というだけかと思ったら、直後にあまりにも非現実的な展開が襲いかかる。その2つは確かに現実にもよくあるが、同時に起こることなんて絶対に無いだろう!もっとも、この後に「そうはならんやろ」の入れ子構造が始まり、ブライアン・W・オールディスが言うところの「気の狂ったスズメバチのようにブンブン飛び回る」展開の前に、最初のものはジャブでしかなかったことを否が応でも理解することとなった。スタンド攻撃ではないかとビクビクしながらスクロールしていたら、ラストの超展開を超えた超展開の前に唖然とし、最後の数行で「やられた」と思った。この作品を読み終わり、様々な感情が渦巻いたが、少なくとも評価と感想をする気にはなった。つまり、この作品のねらいがぴったりはまり、大成功したということだ。
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18話
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文字数:356文字
編集日:2024-11-29
自分に出来る限りの暫定的な真理を探し求めている子が、突然ホンモノの真実を知ってしまう話。最初に語られた彼女の持論が最後に全部自分に返ってくるさまは、まさに芸術的です。自らもまた「押し付けられた価値観を盲目的に享受することしか出来ない無力な大多数」であると知ってしまった。彼女は映画の主人公でも何でもないわけで、反抗などできるはずもない。その結果、全人類の実存にかかわるはずのこの問題は、彼女一人がその柔らかい心で抱え込むしかなくなってしまいます。しかし、ラストで確かに彼女は彼のぬくもりを感じていました。ほかのものがどんなに欺瞞でも、それを心で感じた自らだけは確かに存在していました。何もかも欺瞞と分かった中で、最後に残った信じられるもの。そして彼は、何もわからなくても、まごころを伝える。それが実に美しい。荒唐無稽で絶望的な真実にさらされるさまを通して青い心を切り取った名作です。
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1話
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文字数:397文字
編集日:2024-11-27
圧倒的な疾走感で描かれる無軌道な青春。夜の都会で、自分が最も速いことを証明するため、違法ドラッグをキメて走る若者たち。走りながら、ライバルとの才能の差を感じ、自問自答する。競っているようでいて、その実自分とのたたかい、心の問題に回帰していく。そのさまが実にみずみずしい。カクヨムの青春小説の中でも白眉といえます。この作品は作者の電磁幽体先生が高校生のときに執筆した作品だそうです。それだけでも驚嘆の域に達しますが、月日が経ち、世情が大きく変わってしまったことにより、このような一瞬を生きる無軌道さは貴重となりました。近年は、かつては想像もつかなかった悪意と愚かさ、そしてその反動なのか、しめつけるような秩序によって、早いうちから将来を考えることを強制され、考えないことは怠惰であると嫌悪される傾向にあります。しかし、いまの我々を省みると、将来のため、明日のためといいつつも、結局は目の前のことに忙殺されているではありませんか。この小説には今の我々が失い、そして最も必要とするものがあるように思います。某所で短編で高名なとある作家を評して「情報の圧縮力と語彙や表現力が同居する技量は比類なきレベル」と絶賛している一文があったのですが、電磁幽体先生の短編小説にも、これがすべて当てはまります。電磁幽体先生は「妖精の物理学」で電撃大賞を受賞し、デビューを控えていますが、デビュー後も機会があれば短編を書いていただきたいと、切に願います。
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1話
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文字数:619文字
編集日:2024-11-25
読了後、あらすじがドスンと心にくる。恋とエゴと偶然が混ざり合って生まれた、どこまでも美しく輝く悲劇。読み終わって一晩たっても、まだこの感情を整理できていない。おそらくずっと心に残り続けるだろう。
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1話
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文字数:101文字
編集日:2024-11-24
他薦
「バケモノのきみに告ぐ、」でおなじみの柳之助先生が、デビュー以前から連載している作品です。(実は当時は、バケつ(受賞時は別のタイトルでしたが)の受賞によるデビューが決定したと知ったとき、少々意外な気持ちもありました。この作品で天下を取るとばかり思っていたので…)転生者掲示板でスレ立てした>1が超天才魔法TS転生者ちゃん様の弟子となり、魔法学園で出会ったヒロイン達や掲示板の住人とともに、全並行世界の敵と戦うこととなります。連載開始当時は掲示板形式がハーメルンの流行りで、いっぱいありました。当時の私は、その中のひとつとして、更新されるごとに毎度楽しく読んでいました。と、当時はそれくらいの認識でした。だが奴は弾けた。途中から作品が爆発的な成長を始め、更新されるごとに前の回の何乗倍も面白く、熱くなっていったのです。この作品でもっとも素晴らしいのは章クライマックスの最終決戦です。いやいや最終決戦がすごいのはどの作品も同じだろ、と思うむきもあるかもしれませんが、そういった次元ではありません。物語のすべてが収束し、クライマックスへ加速していく場所として最終決戦があります。これが本当に、熱く、格好よく、美しく、素晴らしいのです!!当時、第一章の連載を追いかけていて、これは本当に物凄いものを読んでいると心底思いました。満を持して集結した掲示板の住人達。ヒロイン達。超天才魔法TS転生者ちゃん様こと、アルマ・スペイシア。そしてわれらが主人公、>1ことウィル・ストレイト。全員が主役で輝いていました。発した言葉の、地の文の、そのすべてに、それまでの物語の到達点が凝縮されていました。そのままの勢いで突入した第2章は、途中から第1章とは少し毛色が変わり、ヘヴィにガッツリ濃密な超絶バトル&ハーレムラブコメ&並行世界群像劇へと生まれ変わりました。演出力もすさまじく上がっていて、毎話が神回になりました。第2章の最終決戦も例にもれず最高で、もう本当に冗談抜きでページをスクロールするごとにしびれました。特に131話「アレス・オリンフォス――???―――」のラストシーンは、この作品で特に印象的なあのシーンのセルフオマージュというのもありますが、(何回かやってはいますがそのたびに予想を軽く超越してきます)それにしてもあんまりにもシチュエーションと演出がバッチバチに決まりすぎていて、少年漫画の見開き大ゴマで、最高の構図で真ん中に大きく最後のアレがドン!!となっている存在しない記憶が生えました。あのシーンが実際にコミカライズされるまでは死ぬわけにはいかない、そう思いました。ここに限らずこの作品は漫画で読みたいシーンが多すぎます。シーンを鮮やかに描き出し、その文章で読者の持つ五感の想像力をフルに呼び起こす柳之助先生の筆力のたまものでしょう。最初ももちろんめちゃくちゃ面白いのですが、話数が進むにつれて指数関数的に作品が成長していきます。キャラクターの誰もが愉快で、格好よく、こちらの心をストレートに撃ちぬいてきます。シリアスな中でも、どこか軽妙で砕けたやりとりがあり、そのギャップがアクセントとなって重苦しさの解消と同時にキャラクター同士の関係性を引き立てています。とにかくこの作品は近い将来、名実ともに「バケモノのきみに告ぐ、」に次ぐ柳之助先生の第二の代表作になるはずです。柳之助先生、あなたに一つだけ伝えたいことがあるんです… あなたは神だ。
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24話
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文字数:1439文字
編集日:2024-11-22
天竜人みたいな権力を持ったヒロインが主人公を3億円で人権ごと買うところから始まる物語です。サイコホラーとラブコメとエロが混ざり合った物語が展開されます。権力を用いて法外なことをするのが日常茶飯事であり、文章上ではぎりぎりR-18ではありませんが(たぶん)やっていることは言い逃れなくR-18なことを普通にやっているうえ、登場キャラたちもそれが当たり前のような顔をしているため、主人公と一緒に読者のほうも倫理観が徐々に壊れる感覚があります。ヒロインたちも誰もが一癖ある経歴・スキル・性格の面々ばかりであり、実に歪で退廃的な空間が醸成されています。読者の倫理観と理性が試される作品です。個人的にはvalue4(4章)が特に印象に残っています。ご主人様の命令でメイド全員とナイトプールで乱交するなんて…刺激的でファンタスティックでしょう。
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44話
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文字数:370文字
編集日:2024-11-17
少年クロと魔法使いの少女シロが二人で旅をする掌編を集めて一つの短編になっている作品です。旅の情景、二人が心を通わせていく日々が鮮やかに描かれています。素人目には描写はかなり直接的で、心情描写の説明もあまり見受けられないように思われます。にも関わらず、二人の心は痛いほど伝わり、感情が揺れ動かされます。極限まで突き詰められたシンプルさの中に大きな深みが生まれています。その深みは、細かな描写ひとつひとつからにじみ出ていますが、読んだ者の中でまとまり、補完され、気づけば頭の中に自動的にできあがっています。かつて過去の短編の名手たちが到達した、短編という媒体の理想形を体現した作品といっても過言ではないでしょう。
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1話
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文字数:308文字
編集日:2024-11-17
一人称がどちらも「ぼく/僕」の、なんとなく彼氏彼女になった2人の物語。一見淡々としていて、実際に2人も恋人らしくないことを気にしていますが、短い尺の中でも、お互いの時間が大切になってきていることが伝わってきます。ゆっくりとでも距離を縮める2人のさまは、まるで一篇の詩のような美しい文章も相まって、心にしみじみとしみわたります。
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1話
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文字数:165文字
編集日:2024-11-15
あらすじを読んだとき、私は古典的なジュブナイル作品なのだろうと感じました。しかし、それは私の浅知恵から生まれた大いなる侮りでした。この作品は古典的なのではなく、原始の魂に訴えかける作品だったのです。空へ飛び立つカフカの、なんと凛々しいことか!目の前に広がる情景の、なんと雄大なことか!解放されて見た初めての世界の美しさは克明に描写され、自由を求めてやまない人間の本能を強く揺さぶります。カフカは新天地たるココット村にて、未知の文化に触れ、友情を育み、負の歴史を知り、レースに参加します。これらはすべて人類の持つプリミティブな欲求を強く刺激し、われわれの心の中にくすぶっていた熱く燃える炎を思い出させてくれます。この作品の芯にあるのは普遍性です。おそらく1000年前も1000年後も変わらないであろう人類の営みそのものです。一見シンプルなこの作品が、大きな深みを醸し出しているのは、この作品が人間の根幹に刻まれた神話の具現化であり、われわれの魂はすでにそれを知っているからです。われわれとこの作品は魂の兄弟なのです。この作品が古びることは、ずっとないでしょう。1000年先も読み継がれていると思います。
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11話
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文字数:506文字
編集日:2024-11-20
先日「妖精の物理学―PHysics PHenomenon PHantom―」で電撃大賞を受賞した電磁幽体先生の過去作品です。もちろんものすごく面白い。しかしこの作品は、これを書いている今現在で評価が星6しかありません。はっきり言ってこんな良作が埋もれてしまうカクヨムの環境はめちゃくちゃ改善の余地があります。「妖精の物理学」が、受賞発表後のプロローグしかない状態で星が27から91まで増えているので、潜在的需要はあるものと思われます。「電撃大賞受賞者の作品が気になっている」人々が、まだこの作品に気づいていないだけです。噓か真かこの作品の星がある日突然10倍とか50倍になってもさほど驚くことではないという者もいます。それがボクです。この作品は、厨二に鋭く効く台詞と技名、ボーイミーツガール、無感情ロリ、死別済おねショタ、レジスタンスの精鋭能力者、異能の継承、折れて燻っていた少年の再起を含む王道異能バトルラノベです。これはもう完全栄養食といっても過言ではありません。しかも構成も丁寧で尺もちょうどよく、伏線回収も気持ちいい…! まさに"最強"の作品です。最強=神 「星滅のリット」は最も"神"に近い作品なんです。
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7話
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文字数:537文字
編集日:2024-11-14
(あらすじ)エーテリアスさんが"M"? バキバキ我が名はマネモブ しかも意外とタフ語録しか喋れない…マネモブのエーテリアスが新エリー都で大活躍するんだァ タフ語録を改変なしで使うから人称が熹一とかリカルドになったり少しズレたコミュニケーションが繰り広げられるんだよね 邪兎屋の出番が多くてやねぇ ニコがツッコミになることが多いから非マネモブでも邪兎屋推しの人は読んだらウマいで!話が進むほどに新エリー都がどんどんタフに侵食されていっておもしれーよ マネモブ以外のゼンゼロキャラも語録を喋るし漫画の中の存在のはずのエイハブ船長やゴア博士が実在人物として新エリー都にいるんだ 怖くない?新エリー都はめちゃくちゃを超えためちゃくちゃ しゃあけどそれでええんや!マネモブはタフクロス二次創作にそれを望んでいる
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3話
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文字数:373文字
編集日:2024-11-15
まずはじめに、公開されているプロローグを読んでみてください。驚くべきことに、この短い冒頭部分は、この作品がどういった作品であるかを全部説明しています。まず、冒頭の夢のシーン。この部分で、主人公カナエの行動原理が明かされます。いや本当に、こいつはこの「泣いてる女の子を放っておけるかよ」で動いてしまうやつなのです。こういう主人公は、さんざん昔のなんかで擦られすぎているような気がして、ともすれば陳腐に感じる方もいるかもしれませんが、しかしこいつはその陳腐を、その心ひとつのみで貫き通そうとする大馬鹿野郎なのです。読み進めていけばあなたもその大馬鹿に惚れ、こういう男を我々は待ち望んでいたのだと心の底から思うようになるでしょう。その後読んでいって、プロローグを読み終わった後に、話の展開や開示された設定、今どこにいてどこに向かうのかを思い出してみてください。それなりにスラスラ出てくると思います。ものすごく面白い小説でも、読んでいるうちに、こいつらは何でこんなことをやっているんだっけ、最終的にどこに向かうんだっけ、なんかすごいことやってるようだけど全然頭に情景が浮かばない、となる作品はそれなりにあるように思います。その点において、この作品は独自の設定、用語を多く使用していながら平易であり、頭にスムーズに入ってきます。これは電磁幽体先生の作品全体で共通しており、プロローグのテキストが心によく馴染む方は、この先読んで絶対にハマると断言できますので、(本が発売されたら)絶対に買いです。このあとは現象妖精による異能バトルが繰り広げられます。物理法則を司るだけあり、スケールの大きいド派手なバトルがたっぷり楽しめます。ひたすら熱さを追求しており、もちろんめちゃくちゃ楽しい。ぜひその目で見届けてください。もちろんプロローグだけで物足りない方は、電磁幽体先生の他作品を読むのもオススメです。要素がギュッとつまった構成の妙が楽しめる、どれも傑作ぞろいです。
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1話
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文字数:832文字
編集日:2024-11-11
前作の後日談的話です。魔皇として死んだアキルが死後の世界、冥界でどう過ごすのかを描いた作品です。
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1話
good/1
文字数:50文字
編集日:2024-10-31
私は、短編にはジャンル・シチュエーションの醍醐味を凝縮してほしいと思いながら読み始めるのですが、これはまさにそうした短編という媒体のよさが出ている作品だと思います。ボーイミーツガールのおいしいところをガツンとまっすぐぶつけてくる作品です。こうなると細かい設定が邪魔になりそうなものですが、ここもスッキリとまとめ、世界観に厚みを生み出しています。このバランスの取り方は見事です。愛を真摯に表現した非常に優れた作品です。
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1話
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文字数:212文字
編集日:2024-10-27
他薦
呪いのビデオという古典的な題材を、デジタルデータの移り変わりと絡めた良作。読み終わって、今のブルーレイやDVDも、30年後とかには衰退して、再生機器とか手に入れるのに手間がかかるようになってしまうのかしらと余計な心配をした。
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1話
good/0
文字数:112文字
編集日:2024-10-13
探偵・明智小五郎と美しい宝石や人間をさらう女賊「黒蜥蜴」が知恵くらべ対決を行う作品です。昨今では二十面相に比べて話題に上がりづらいような気がしますが、読んでみるとこの作品が、現代のあらゆるエンタメの原点であり、概念として完全に人口に膾炙していることがわかります。黒蜥蜴は妖艶にして狡猾、悲しい過去とかとんでもない動機とかのバックボーンもなく、ただ楽しいからという理由で好き放題やっています。ただただ黒蜥蜴のキャラクターだけが強烈に立っており、一周回ってライトノベルに近くなっています。80年前の作品ですが、文体が非常に読みやすいのも特徴です。連載小説だったからか、地の文がナレーション的に緊迫感を盛り上げてくれたり、最初のほうの伏線を説明してくれたりと、とても丁寧です。ほかにも、たとえば星新一作品のような、いい意味で時代背景を感じさせない作品であり、古びている感じをあまり受けません。現代を舞台に何度もドラマ化されているのも納得です。さらに、過去作「人間椅子」の内容をトリックとして大々的に扱っており、ファンサービスも抜群です。娯楽として楽しんでもらう工夫が随所に見られ、現代人がジャンプやニチアサを見るのと同じ感覚で、当時の人々が更新を心待ちにしていたのが想像できます。また、黒蜥蜴の一人称が僕なのが最初だけだったり、最初は黒蜥蜴が主人公のようだったのが、いつの間にか明智が主人公になっていたり、黒蜥蜴のネームド部下の潤ちゃんが徐々に出番が減って最後は雑に処理されたりと、連載ならではの凸凹ポイントもいくつかあるので、そういうのに関心のある悪いオタクにもおすすめです。単純娯楽小説として真の意味で不朽の名作といえます。この作品を読むのに遅すぎるということはないでしょう。
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1話
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文字数:745文字
編集日:2024-10-13
思春期というものは、急に視野が広がる時期だと思うんですよね。それで、これまで気にしていなかったようなことが妙に気になったりする。ただ脳のスペックは子供のころとさほど変わるわけではないので、そこの齟齬が極端に出てしまう。この作品は、そういう人たちの物語だと思います。視野が広がって、欠けていびつな自分を直視せざるを得なくなる。でも一方向からしか見れていない。欠けた部分をなんとかならないなりに何とかしようともがく、そういう人たちの。ライトノベルとしては、まずつかみがバッチリ、500億点です。前提の抜けた不穏な状況から謎の少女との出会い。そして主人公すら記憶を失って何が起こったのかわからなくなる。そして、またも謎の少女のもとに導かれ、謎が解かれることになる。安楽椅子探偵としても完璧です。特にこの本当にわずかでささいな手がかりから真相を見いだすのは魅力的です。ほかにも、安楽椅子探偵は一歩も動かずすべてを推理するという離れ業をやってのける以上、ある種の超然的なムードをもつことになります。その雰囲気も本当によかったので、これはわかる人が書いているやつだなと、なぜか上から目線になってウンウンとうなずきながら読みました。青春ものとしても安楽椅子探偵ものとしても完成度の高い作品です。それにしてもこの作品は、これを書いている時点で星が6しかありません。カクヨムではミステリは伸びにくいとはいえ、もっと高い評価を得てしかるべきだと思います。同作者の別作品「妖精の物理学―PHysics PHenomenon PHantom―(https://kakuyomu.jp/works/16818093074635312324)」も、星が14しかありませんが、電撃文庫大賞の最終選考になっています。まだ世間に見つかっていないだけで、非常に優れた作品です。個人的には、ある日突然星の数が10倍とか50倍になっても、あまり驚きません。それだけの力がある作品だと思っています。(余談)それにしても、私は偶然出会えたからいいですが、小説投稿サイトにはまだまだ世間に見つかっていないだけの作品が大量に埋まっていて、これのほとんどにたまたま、偶然という理由だけで傑作を見逃し続けると思うと、ゾッとします。やはりノベレコはこれからのWEB小説に必要です。
まずココまで!
6話
good/0
文字数:977文字
編集日:2024-10-13
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