あおが書いた小説の紹介・解説一覧 Tweet
全体:65件
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世にも珍しい囲碁ラノベ。中華ファンタジー世界に転生した少女が星天と名乗り、命懸けの対局に挑んでいく。囲碁という、それなりの割合の読者があまりなじみのないと思われる題材でこれほど多くの支持を得られた理由は、その描写の巧みさ、そして星天という主人公の輝きの強さにある。この作品は常に一人称で進行し、視点人物(おもに星天、たまに鳴良 ほか)の心理描写に多くの尺が割かれている。特に対局中は、対局相手の多種多様な戦い方に対し、視点人物がどのように考えて対応するか、その心の動きで一局の流れを表現している。これはすなわち少年バトル漫画の心理戦の文法であり、これによって囲碁がわからなくても読者は作品世界にスムーズに入り、楽しむことができる。その心理描写のほとんどは、主人公である星天のもので占められている。この星天がとにかく強烈に魅力的だ。星天はもとは病弱な少女で、明日の命があるかわからぬ日々の中で碁を打ってきた。星天にとって生きるとは戦うことであることは作中で何度も強調され、彼女は何度も望んで負ければすべてを失う戦いに挑んでいく。彼女から感じるのはすさまじい命の輝きだ。過去や未来ではなく現在、この一瞬のために彼女は生きて、碁を指している。誰もが彼女に捕らわれ、目を離せなくなる。この強烈な輝きこそが本作が多くの読者に支持された理由だと思う。このふたつが合わさり、魅力的な物語が紡ぎ出されている。これから注目を受けること間違いなしの作品だ。
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7話
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文字数:628文字
編集日:2025-11-12
本作は超王道のボーイミーツガール異能バトルSFラノベであり、いろいろな意味でひねくれものの集まりであるカクヨムにおいて、眩しいほどに真っ直ぐな作品だ。かつて作者の三枝先生は、ゼロ年代ラノベの空気感を色濃く継承した作品である昨年の電撃小説大賞受賞作「妖精の物理学」を「人類帝国最後の遺産みたいな作品」と評し、「これを受け取ってしまった我々は人類帝国を復興しなければならないんだよなあ……」と語っていたが(出典)、そこへゆくとこの作品は、その人類帝国の復興を世に示すものとしてこれ以上はない作品だと言える。なんで大ベテランが新人を継ぐ者になってるんだよ あーっ量子力学と八百万の神々をガッチャンコさせるという突飛な設定から、しかしそれが出オチにならず全編において活かされ、空想の翼がどこまでも広がり魅力的な世界を描き出している。読者の知りたい・気になっているところは先回りして教えてくれる、かゆい所に手が届く親切仕様も完備だ。さらに、物語の土台もしっかりしているため、設定が分からずとも「タイイチでラブコメする異能学園ものだよ…たぶん」くらいの認識でもじゅうぶんに楽しめる。キャラクターの描写も見事で、どのキャラも立っている。一人一人の個性がかなり丁寧に描き分けられていて、しかも過剰でない。数もちょうどよく、こいつ誰だっけとなることはかなり少ないのではないかと思う。その個性的なキャラの中で、物語は主人公とヒロインの二人を軸としていてまったくブレていない。幕間を別とするとすべて主人公の一人称で展開され、知識が偏っている主人公がヒロインからものを教わる描写が、そのまま綺麗に設定説明となり、読者は主人公と一緒に物語世界のことを学ぶこととなる。また、主人公は知っているが彼の中では当たり前すぎてわざわざ明示しないこと、主人公自身の特異性を彼自身が正しく認識できていないことも混在しており、若干「信頼できない語り手」による叙述トリック的にもなっている。物語としては基礎中の基礎だが、これが抜群にうまく、一流の奇術師によるマジックを見るように読者はつねに驚かされ続けることになる。要素がすべて過不足なく整理され、読者は無駄な苦しみを覚えることなく物語世界のすべてに没頭することができる。これはまさしく職人芸であり、余人に真似できることではないだろう。(出典)https://x.com/saegusa01/status/1921043685682057296
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1話
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文字数:1039文字
編集日:2025-11-04
大阪弁の軽妙なやりとりが楽しいミステリー短編。人情が心に沁みる。もっと評価されていい隠れた傑作。
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1話
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文字数:48文字
編集日:2025-10-29
2025年の大阪万博は、人知れず聖杯戦争の舞台になっていた。主人公のサーヴァントは、太陽の塔。監督役は国連と、バンダイナムコ。この異色の聖杯戦争で、各国の思惑が交錯する。いわゆる原作キャラがひとりも登場しない、たいへんなストロングスタイル。そのぶんFateらしさは、ほかのどの二次創作にも負けることはない。万博や各国文化へのオマージュもたっぷりと込められている。つい先日、万博が閉幕した日に完結した。万博が懐かしい思い出になる前に、いま読むべき作品。
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19話
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文字数:227文字
編集日:2025-10-14
電撃小説大賞の最終選考に残った作品。だというのに、これ書いてる今現在でまだ星が12しかない。(よくあることとはいえ)評価があまりにもクオリティの高さに釣り合っていない。ポストアポカリプス世界で浮遊バイクを駆り浮遊島を渡る魔女と記憶喪失の人造人間の間で繰り広げられる百合。2人の共同生活で紡がれる関係性の変化は、これがみんな見たいんだ!というツボを的確に押してくる。奥深い世界観はロマンをかきたて、断片的に語られる過去が現在へと繋がっていく瞬間は最高!これはもう無敵の作品です。
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17話
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文字数:242文字
編集日:2025-10-14
ここで公開されているのはあくまで試し読みで、最初の章の途中までしかありません。非常に気になるところで終わります。この章の終わり方は神がかっていて(というより、この作品の章の終わり方はすべて素晴らしい どこか切なさが重く残る読後感が癖になる)加速度的に面白くなっていくので、少しでも気になって、ああここで無料範囲は終わりか、どうしようかな買って続きを読もうかな、と迷っている方は、絶対に読んだほうがいいです。(個人的には、あそこで切られているのは少しもったいない気がしますが…)この作品の白眉は、何といっても音楽の描写でしょう。音楽という、当然文字では完璧に表現することができない題材を取り扱っているのに、セッションの高揚感があふれんばかりに伝わってきます。たとえばアニメだと音声と映像がついて、漫画だと絵の演出で豊かに表現できるので、ただ単に音楽の物語を完璧に描くにはそちらのほうが都合がいいはずですが、あえて「音声ゼロ、映像なし、想像あり」の縛りがついた、小説という媒体でこうも鮮やかに描き切ってしまうというのは、これぞ小説が小説であることの意味であるといった感がありますね。このある意味小説の大きな醍醐味をこの作品ではたっぷりと堪能することができます。もしかして杉井光ってすごい作家なんじゃないスか?私は杉井光の作品を読み始めたばかりのニュービーですが、この作品で杉井光は小説という媒体と文章による表現の限界に挑戦している作家なんだなと感じました。ライトノベルとしてのこの作品は、主人公がヒロイン3人の苦悩を共に解決し、やがてともにバンドを結成するに至る、青春ラブコメ作品です。といえば簡単ですが、そう乱暴にまとめてしまうには、主人公の真琴があまりにも曲者です。まずこいつは一人称語り手としてまったく信用できません。ラノベの「信頼できない語り手」といえばキョンとか阿良々木暦とかいますが、それとはまた別ベクトルでアレです。怪盗クイーンとか夢水清志郎が語り手をやってるようなもんなんだから話になんねーよ。こいつは自己評価が無駄に低いため、とんでもないことをサラッと流すのは日常茶飯事です。私は普通の高校生でございといった顔をしてるくせに。エロゲ主人公みたいでやんした…読んでいて「んん??」となることがあるかもしれませんが、それはだいたい正しい。スルーせずよく確かめてみましょう。遠坂凛のすごさに驚く人がいない問題がこの作品にもあって、期せずして叙述トリックみたいになっています。しかもバッカみてえに鈍感なため、ヒロインたちの恋心にこれっぽっちも気づきやがりません。この作品は勘違いものとしての側面も備えているというわけですね。あんなスパダリ行為しておいて、いつか脳をこんがり焼いたむくいを受けるときがきっと来ます。真琴が悪いんだよ…ヒロインたちも音楽のたぐいまれなる才能があるということ以外は等身大の悩みを抱える少女たちで、非常に魅力的です。彼女たちのボケに真琴がツッコミを入れる日常はとても心地よくいつまでも見ていたくなります。とんでもない深みと豊潤さをもった一大傑作です。もっともっと知名度が上がってもよいとおもいます。この前のセールのとき買っときゃよかったなあ…とか思わず、読め!今読め!読んで若い衝動と美しい旋律をその身に浴びろ!
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7話
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文字数:1391文字
編集日:2025-09-03
すさまじく長いが、まったく問題ではない。物語に夢中になって、ページをめくる手が止まらないからだ。失職した傭兵と大人気の小説家が、魔の山にある謎めいた街を目指して二人旅。最初はいがみ合う二人だが、次第に信頼を深めていく。やがて二人の過去の後悔、枢機卿の大いなる陰謀、そして世界の隠された秘密が複雑に絡まりあっていく――― 一見するとオーソドックスな王道ファンタジーのようだが、ドラマ、キャラクター、そして設定は全てが洗練されていて、物語強度が非常に高い。あなたは読み進めるたびガツンと殴られたような衝撃を受けて、読み終わったときにはもうこの作品を読む前の自分には戻れなくなるだろう。軽妙な会話劇の中でちょっとしたことを印象づけて、あとからそれを伏線として回収するのが抜群にうまく、読んでいてとても気持ちいい。ファンタジー、ミステリ、そしてSFのトロの部分をいいとこどりしている、文章媒体によるフィクションのひとつの理想形ともいえる作品。じっくりと向き合うことで、いくらでも味が出てくる。読書の快楽を最大化したい方におすすめ。
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50話
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文字数:467文字
編集日:2025-07-13
ハーメルンにおける忘旗かんばせ氏は、西尾維新作品の二次創作で数々の高評価を得てきた作家だ。私もはじめて読んだとき、独特のリズム感と中毒性を生む文体も、独特のキャラクターに引き込まれる高揚感も、本当に見事に再現されていると驚嘆した覚えがある。どれだけ西尾維新のことを考え、理解しようとしたら、これだけのものが書けるのだろうと思った。このオリジナル作品は、一見西尾維新とは関係ないように思えるかもしれない。しかし、確実にこの作品の根底に流れるものは西尾維新とは切っても切れないものだ。そう、この作品は、西尾維新がデビューした時代―すなわち"新青春エンタ"のあらわれた時代―の、魂を受け継いだ作品である。どこにも行けないような終わりなき日常に現れる、ほんの少しの非日常。路地を少し外れただけで姿を変えるセカイ。自分たちだけの価値や答えを求めて歩む若者たち。そんな今では絶滅したかのように思えるあの頃の空気が、令和ナイズされて、ここにある。何者かになりたい女たちの魂の激突!次回がまったく予想もつかない急展開を超えた急展開!連載を追いかけられる今がもっともたまらない時を過ごせると断言できる。彼女たちがどこへ辿り着くのか、その先をもっと見せてほしい、と思うこと間違いなし!
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11話
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文字数:548文字
編集日:2025-06-26
女と女のなま身の感情がなれ合い抜きにぶつかり合う。醜さもすべて含めてキラキラと輝く。彼女たちがどこへ辿り着くのか、その先をもっと見せてほしい。
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11話
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文字数:71文字
編集日:2025-06-26
秋野てくと氏は神を細部に宿す作家である。氏の代表作である「デュエリストしかいない乙女ゲームの悪役令嬢に転生してしまったのだけれど「カードゲームではよくあること」よね!?」は、悪役令嬢ものでTCGをする作品だが、個々のカードの能力やデッキテーマの動き、特殊ルール、そしてそれらを総合的にふまえてどう魅力的なデュエルを演出するか、隅々まで考えられている。秋野氏の作品は、見た目はライトでありながらその実非常に緻密でディープな作品なのだ。この作品は「怪異撃滅クラブ」という珍妙な名の部活に所属する女子高生たちが怪異の裏にいる人間を暴く、ホラーにみせかけたライトミステリである。1話や1章ぶんがほどよい長さでキャラの掛け合いも楽しいため、非常にスイスイ読める。読めてしまう。それではもったいない、この作品は(特に3章は)秋野氏がミステリとして読者の度肝を抜いてやろうという真剣さがこれでもかというほど伝わってくる一大傑作である。私はとても面白いとは思っていたが最初は鈍いゆえにそれを感じ取れず、さっさと続きを見て、もっと謎を解こうと努力すればよかったと後悔した。私は読者として秋野氏の真剣さに応えるべきだった。ミステリは謎が解かれればそれきりである。真相を知らなかったころには戻れない。これを読んでいて、まだ3章の4話以降を読んでいないあなたには、すべてを捨てて目の前の謎にのみ集中し、命懸けで謎解きに挑んでほしい。
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11話
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文字数:612文字
編集日:2025-06-16
異世界の人間によって誘拐された女性である主人公が魔王軍の最高幹部のひとり"|病毒の王《ロード・オブ・ディジーズ》"となって3年間で人類を滅亡させようとする話です。この世界の人間はだいたい現実世界の人間と同じような感じだと思ってください。つまり強欲だし邪悪で残虐です。この性質が悪い方向にかみ合った結果、人間と魔族は泥沼の戦争を繰り広げています。救いがたいですね。こうした人間たちを、主人公は人間ならではの卑劣な策で次々殺していきます。こうしてみると重い作品のようですが、それだけではありません。戦争描写以上に紙幅が割かれているのが、ヒロインであるリズとの百合です。リズはダークエルフの暗殺者メイドで、彼女をかわいがりイチャイチャするシーンがこの作品のメインといっても過言ではありません。部下や仲間におもしれー男と女がだんだん増えて交友が増えていきますが、これは最初から最後まで変わらないのでご安心ください。一章がおそらくラノベ一冊分くらいで分けられており、要所にイラストもあるため、書籍のラノベとあまり変わらない感覚で読むことができます。全体の長さから受ける印象とは裏腹に非常に読みやすい作品です。
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51話
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文字数:515文字
編集日:2025-06-08
あらすじの軽さからは想像もできないほどに、お、重い…!複数回転生が前提のはずなのに一周目からその価値が丁寧に丁寧に描写され、もう読者である私からしても(きっと主人公からしても)これを手放す日が来てほしくないと思う気持ちでいっぱいになります。もう転生などせずヒロインと添い遂げてくれって思ったね。ここまでしっかりこの人生に思い入れを持たせておいて10話のあとがきが鬼畜すぎい~~っ もう少し何というか手心というか…
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10話
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文字数:214文字
編集日:2025-05-28
初手例外というものがありますね。アレの面白さをたっぷり味わえるのが、この作品です。何を言っているかよくわからない方こそ、今すぐこの作品を読み始めてください。序盤に何気なく流していた部分が最新話に近づくにつれてめっちゃやべーことやってたことがわかって、マジでビビります。丁寧に広げたファンタジー戦記世界観の風呂敷で打ち上げ花火をするコメディ作品です。
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46話
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文字数:176文字
編集日:2025-05-28
おいしいご飯を食べる小説ならウェブ上に数多くありますが、この作品はそれとは真逆の、マズい店で食レポをする話です。JKになんかさせる作品は昔から需要が大きいとはいえ、ついに行き着くところまできた感が…クソゲーハンター的に飯マズを食べ歩くJKたちの食レポは豊富な語彙で読むものを楽しませてくれます。しかもこれは小説で挿絵とかはないので、読者は生々しさを感じることなく、安全なところから笑えるというわけです。小説は伝えられる情報量に限界があるとはよく言われますが、本作はそれを逆に利用してこの作品をエンタメとして高いレベルで成立させています。
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1話
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文字数:270文字
編集日:2025-05-03
漫画家として活躍している天原氏の初小説。私は氏の作品は初めてだったのだが、結果として氏がなぜ星新一やボーボボと並び称される天才アイデアマンとして惜しみない賛辞を贈られているかを理解し、その世界観の巧みな構築に脱帽することとなった。ジャンルの当たり前を見直し、面白さの核を徹底的に追及しているのが見て取れる。また大抵の読者に伝わりやすいように表現もかなり工夫されているように感じ、とても読者フレンドリーな作品となっている。異世界の住人の文化、発展レベル、個々人や集団の思考も深く考証されており、もはや一冊の歴史物語のようでもある。秀逸な大量のアイデアと丁寧な構成が掛け合わされた一大傑作。異世界ファンタジーならまずこれを読めといっても過言ではない。
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25話
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文字数:329文字
編集日:2025-04-20
異能バトル少女が主人公とヒロインの幼馴染カップルの恋を応援する変則的王道ボーイミーツガール。「ゼロ年代ライトノベルを多く感じる作品」というのが、この作品のざっくりとした第一印象だった。かつて多く見られた、熟語にカタカナのルビをふった形式の独自用語、うさんくさい組織と父親、燻っていた少年の覚悟、異空間と怪物、研究所で育った怪物を狩る少女、ほかにもさまざまな細かい要素が私にかつてのラノベを想起させた。地の文や会話のテンポ・リズムも非常によく、快適に読み進めることができた。しかし、真に特筆すべきは、この作品が現代に生まれ出でてくれた、ということだ。この作品は、照れも恥じらいもなく、ただひたすらまっすぐに青少年の青春を、自意識を描き出している。どこまでも鮮やかな真夏の青空の下、彼ら彼女らが笑いあい、また悩み苦しむ姿が目に浮かぶようだった。この作品の描写一つ一つはすべて作者が少年少女の「愛」や「可能性」を本気で心の底から信じていないとできないものばかりで、これは現代においては本当に稀有なことだ。作品に込められたこの大いなる浪漫こそが、この作品の魅力の核だと、私は思う。この作品も、これからの新たな時代に刻まれた一作…いや、代表作となってほしい。この作品には、それだけの価値がある。
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14話
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文字数:548文字
編集日:2025-04-12
2週間ただひたすら長編を書きまくり電撃小説大賞に応募しようとするという 何とも過酷で困難なことを成し遂げようとしている作品がある それがこの「違法使いの都神解体《ジェイルブレイク》」ですとにかくもう一つ一つの要素が強力なうえ無駄がない。治安の終わった街。どこにも行けない閉塞感に懊悩する少年。傍若無人な双子の姉。ミステリアスな謎のおねーさん。心が生む異空間。小ネタ的パロディ盛りだくさんのひみつ道具。そして異能バトルとミステリの幸福な結婚によって生まれた、幾重にも重なりあった真実。作者がこれまでカクヨムファイターとしての執筆の中で鍛えた、圧巻の筆力と構成力によってこれらがまとめ上げられ、物語が織りなされている。どれか一つでもピンときた人は、今すぐ読んでほしい!!私がライトノベルに求めているものの全てがこの作品の中にあった。きっとあなたもこの作品を読んだ後なら、「ライトノベル」とは何だ?と問われたら、この作品を指して”これ”だ!と胸を張って答えられるようになるだろう。
まずココまで!
13話
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文字数:441文字
編集日:2025-04-04
ある日突然、人間が暴走の危険を抱えているキメラに変異し、キメラは首輪をつけられ人間の奴隷とならないと生きられない世界。キメラに復讐を誓うおっさん(岸谷)と、彼に道具として使われているキメラの少女(サナ)が、最後の一体となるまでキメラを殺す話。サナはキメラでありながらキメラを殺す。すなわち同族殺しという自己否定を行っている。声帯が壊れていて喋らないため、何を考えているかよくわからない。この悲哀と乾いた雰囲気が、この作品の大きな魅力のひとつ。この作品の世界観の根底には差別がある。しかし、それが善であるか悪であるかという、一面的な提示はされていない。あくまでありのままの、人間の感情と行動が描写される。私はここに、電磁幽体先生の真摯なまなざしを感じた。先生のいくつかの作品にあらわれていることだが、悪とされている部分、目を背けている部分を描いても、それらを完全に否定せずまっすぐ受け止めており、そのため、人間のままならなさと、そこから来る淋しさが強調される。一部の電磁幽体作品では、一般的には欺瞞に満ちているかもしれないし、道徳的には間違っているかもしれない、そんな決断が下されてしまう。だが、それを誰が否定できようか。彼らの持つ弱さが、私たちの誰もが持つ弱さでもあるからこそ、電磁幽体先生の作品は胸の痛いところを突き、ずっと忘れられないのだ。(ここからネタバレ)最終話は、人間と道具だったはずの二人が、お互いを好き(おそらくNOT恋愛)になってしまったことを示唆して終わる。読みおわったあと、これで終わりか…と、しみじみとした気持ちと、少しの呆気なさと、もう少し読みたかったという思いが入りまじったが、やがて、作中の彼らと同様に、自分もこの2人が思ったより好きになっていたことに気づいた。となると、最後の結末まで描かれなかったのは、かえってよかったのかもしれない。前述したように、同族殺しの末路として、きっとサナは死ななくてはならない。少なくとも、岸谷は選択しなければならない。そんなものを読んでしまったら、しばらく何も見たくなくなるだろうから…
まずココまで!
3話
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文字数:904文字
編集日:2024-12-18
ハリーポッターの二次創作は、人気のものはみな原作に引っ張られるのか骨太の作品が多いような気がする。これもそんな作品の一つ。孤児院の少年が引き取られ魔法使いの名家の生まれであることを知るというハリーやトム・リドルを思わせるバックボーンの主人公。当主となり、徐々に成長していくさまが本作の見どころ。話が進むにつれ、名家がクソデカ名家すぎてちょっとだけシュールな笑いがあった。ハリーポッターの原作要素の中でも、特に「血統・一族」と「出生の秘密」をクローズアップして独自設定を盛り、物語を展開している。ヴォルデモート…あなたはクソだ(あたりまえ)ドライさとウェットさが読んでいてだんだんと癖になる。そして根底にあるのはふだん目立たないが大きな愛。やっぱりハリーポッターは愛の物語だよなと感じる。ここを外さない二次創作は名作。
まずココまで!
30話
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文字数:364文字
編集日:2024-12-15
現代においても「純愛」は人気であり、数多くの作品が存在する。しかし理論上、この作品以上の純粋な愛は存在しえないように思う。電磁幽体先生は到達点にたどり着き、すべての純愛を過去にしてしまった。メイドロボが7億380万年もの間、創造主の博士ただ一人を愛し続ける。そのあいだあまたの文明がおこり、風の前の塵のように滅びるさまは、読者に無常観を呼び起こさせる。すべてが移り変わり、変わらないものなど何もない中で、唯一不変のものが「愛」なのだ。そこには人間の肉の体なら当然生じるであろう性愛もない。(サイバーパンクだ)あるのはただ一心に想い希う(こいねがう)心のみ。これほど美しいものがほかにあるだろうか。
まずココまで!
1話
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文字数:302文字
編集日:2024-12-12
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